
作品調査
伍島 翔太GOSHIMA Shota
2003年生まれ 富山県在住
※以下の文章は、滋賀県アール・ブリュット全国作品調査研究令和7年度報告書から抜粋したものです。
伍島翔太は富山大学付属特別支援学校卒業後、ほまれの家富山東店に通所。「NOMAMA to GAMAMA展」(2023年、氷見市芸術文化館)で、はじめて家で作る作品を発表した。
厚手の段ボール紙に描いた絵のように見える伍島の作品は、一見するとカラフルなオブジェ、発掘された石の遺物などのように見えるものがある。特撮戦隊ヒーロー番組に出ている組織のロゴや主人公のコスチュームのバックルや文様を立体化したものなのだが、その技法と相まって独特の存在感を醸し出している。実はどれも立体作品として作り始められたものではなく、最初はコピー用紙に描かれた1枚の絵だった。描いた絵にさらに紙を貼って手直ししていくうちに数十枚張り合わせてできあがった作品は、元がコピー用紙とはわからないぐらい固く厚みがある彫刻のような仕上がりになっている。
伍島は小さい頃から好きなもの大切なものをクレヨンで絵にすることが大好きだった。小さい紙、大きい紙。機関車トーマスから始まったお絵描きに夢中だった。支援学校の入学検査で待機中の彼が描いている絵を見た担当教員から、「これからこの絵を生かしていけばよいですね」と話しかけられ、入学後の担任の助言もあって、絵画教室に通い始めた。シンプルでカラフルな動物の絵は発表会でも異彩を放っていたが、本人にとっての表現は自宅で毎日行っていた模写だった。
小学3年ぐらいから、コピー用紙に描いた絵を切り抜き、糊で貼り付け始めた。学校の図工の時間に糊を使ったことがきっかけのようだ。不思議なことにコピー用紙以外の絵は切り抜かない。1枚目の絵の中に直したい箇所があった時にもう1枚、描いて切り抜いた紙を貼っていく。部分的に貼って直すこともあれば、全体を貼り直すこともある。どんどん、どんどん手直しと貼り直しを繰り返し、作業は夜遅くまで夢中で続く。
一つの作品が満足できるまで手直しされるのに使用するコピー用紙と糊の量がすさまじく、紙500枚、クレヨン一箱、糊1ダースが1か月で消費されていった。材料を切らさないように、様子を見て、材料を買い足し、補充してくれたのは祖父だった。
本の写真や挿絵を見て作っていた作品は、今ではパソコンやタブレットが使えるようになって、YouTubeなどを眺め、調べて、こだわりは強くなっていった。
約15年作り続けたオブジェは衣装箱5箱、段ボール箱5箱に保管され、作業部屋に積み上げられている。作り上げた作品は、時々箱から出され、眺め、慈しまれ、箱に戻される。時には部屋の隅や廊下などに一つずつ置かれ、それを眺めて過ごすこともある。
伍島の表現の面白さは、決して厚みや立体感を求めて作り上げたものではなく、平面作品としての不具合の手直しを繰り返すことで、意図せずに立体作品となっていった部分だ。乾いた糊でかちかちに固まり、濁ったクレヨンの色のオブジェはまるで遺跡から掘り起こされたばかりの出土品のような印象だ。戦隊もののロゴやバックルの形は、すぐにそれとは認識しにくく、正体不明感がどの作品にも流れている。修復が創造。模倣が修復によって別次元の表現につながることの面白さがこの作品にはあふれている。
無造作に積み上げられた作品が詰まった透明の衣装箱は、伍島の内世界から本人によって発掘された愛すべき意匠の標本箱なのだ。
(米田昌功 / 富山県障害者芸術活動支援センターばーと◎とやま代表・NPO法人障害者アート支援工房COCOPELLI)






