NO-MA ARCHIVE(ノマ アーカイヴ)

展覧会
2023.7.29-9.18
並行世界の歩き方 上土橋勇樹と戸谷誠

※以下の文章は、開催当時のまま掲載しています。

わたしたちのすぐそばには、もうひとつの別の世界がひそんでいるのかもしれない。上土橋と戸谷による表現はその可能性を期待させてくれます。
上土橋は実際には存在しない洋書の表紙、DVDジャケット、映画のエンドロールなどを制作しています。参考とするモチーフもないまま、「あたかもありそうな」というユニークな視点で作られるそれらは、独自の秩序に基づいて増殖していきます。戸谷もまた、自身のなかにあるイメージを追求するアーティストです。一貫して鮮やかな発色で描く戸谷は、その色合いに負けないくらいのシュールな世界観を展開し、途方もない年月をかけて複製や加筆修正を繰り返します。
ふたりによる表現は、並行世界=パラレル・ワールドが幾重にも存在していることを感じさせてくれるのではないでしょうか。彼らが永々と歩む世界の在りようをご覧ください。

上土橋 勇樹 Kamitsuchibashi Yuki

2001– 岐阜県生まれ、滋賀県在住
3歳ごろから描き始め、様々なフォントに興味を持ち、小学1年生ごろからパソコンを使うようになる。2020 年からやまなみ工房に所属。同施設や自宅で、独自の法則に基づき、カリグラフィーや架空の本のカバー、DVDジャケット、エンドロールなど、多岐にわたる媒体による作品を制作。読解の困難さ、複雑さを体現するその作品には、同時代的な感性が見て取れ、近年注目が集まっている。また、自宅ではフォントのレイアウトや料理を作る過程などを撮影し、毎日ストイックにYouTubeで公開している。


戸谷 誠 Toya Makoto

1944– 東京都生まれ、東京都在住
20代のころから、女性像や錯視効果を取り入れた作品など、人物、月、風景といった諸要素が複雑に絡み合う作品を描く。どこかシニカルで、少しエロティックなその作品は、幸福感にあふれた楽しい印象も感じさせる。また、戸谷は自身の作品について、「どのような絵になるかは、描いてみないとわからない。」と語る。刹那的に現れる脳内イメージを描き留めることで多くの作品を生み出す一方で、何年もかけてそれらの複製や加筆修正を行い、ひたむきに絵と向き合い続けている。

並行世界の歩き方展ちらし表面

並行世界の歩き方展ちらし裏面

関連イベント

「上土橋勇樹の公開制作&ギャラリートーク」
出演者:上土橋勇樹、上土橋真由美、棡葉昌大、横井悠
日時:8月5日(土)13:30–15:30(ギャラリートークは14:00から)

当日のレポートはこちらをごらんください。

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