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展覧会2019.6.8~9.8
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忘れようとしても思い出せない
※以下の文章は、開催当時のまま掲載しています。
ふと目についたのに、次の瞬間には関心が薄れ、残像のように記憶に残った風景。あるいは、理解しようにも難しく、未整理のまま脳の中に仮置きした出来事。私たちは、自分の見聞きしたものに対し、日記をつけたり、思い出話を披露したり、ネット上に呟いたり、言語化して整理していきますが、そのすべてを言語化することなど到底できず、目にした世界の多くを未消化のまま日々を過ごしています。だからきっと私たちの心の底は、言語化の網をするりと抜けて、名前を与えられなかった風景や出来事でいっぱいになっているはずです。
本展では、そのような未消化のままに記憶に沈殿してしまいそうな風景や出来事を、絵画や写真、映像などに留め、表現に昇華させる5名と1組の作者を紹介します。
タイトル「忘れようとしても思い出せない」は漫才コンビ「唄子・啓助」の鳳啓助による『君の事は忘れようにも思いだせない』というギャグにちなむフレーズです。このギャグは記憶の性質をユニークに言い表しているのではないでしょうか。本展を通し、明確に言語化されずとも、確かに感得された情景に思いを馳せていただきたいと思います。
出展者
岡部亮佑 / おうみ映像ラボ / 鬼海弘雄 / 齋藤勝利 / 田中秀介 / 西村一幸