-
展覧会2009.2.3~5.10【会期延長】
-
アール・ブリュット作品との対話~心の病と表現衝動~
※以下の文章は、開催当時のまま掲載しています。
第1会場:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
【アロイーズ 私の愛は蝶のように飛び去った…】
アロイーズは31歳で統合失調症になり精神病院に入院。亡くなるまでの46年間で膨大な作品を残した作家です。オペラの場面や錬金術などの豊富な知識、鮮明な生い立ちの記憶、愛への願望を融合させ独自の精神世界を絵の中に創造しました。本展のタイトルである「私の愛は蝶のように飛び去った・・・」これは、アロイーズ自身が絵の中に書いた文章であり、姿を変貌させて美しい羽を広げる蝶を「再生の象徴」と考えたものです。
この展覧会はボーダレス・アートミュージアムNO-MAとスイス・アロイーズ財団の共同企画によって実現し、初期から晩年に至るアロイーズ作品を一望することが出来る大変貴重な内容となっています。
第2会場:旧吉田邸
【目覚めぬ夢 ~日韓のアール・ブリュットたち~】
「アール・ブリュット」という概念は、障害者の芸術を指す言葉ではありません。しかし後に「アール・ブリュット」を命名し、その作品の発掘収集に情熱を傾け続けた美術家ジャン・デュビュッフェの活動期の前後1920~50年当時、主に精神に障害をおった人々の表現の発見がメインであったことは事実です。そして彼らの作品に対して新しい価値評価をもたらしたこの概念は、「表現」というものが人間の心の深層に眠っているイメージの豊かさや不可思議さに光をあることになったのでした。
デュビュッフェ自身もアール・ブリュットに宿る狂気を、創意を触発する衝動そのものとしてとらえていました。「彼らに作用するメカニズムは健常者と呼ばれる者にも存在するが、ただ継続的かつ全開状態ではないだけだ。狂気は建設的なものであり、豊穣かつ有用で貴重な能力である。」とも述べています。
それは人間個々人が、病んでもなお保ち続ける「生きぬく力」「自らを再生する力」というものに深く関わっていることを明らかにしたとも言えるでしょう。
出展者
【第1会場:NO-MA】アロイーズ・コルバス
【第2会場:旧吉田邸】周英愛 / 木本博俊 / 山崎健一 / 高橋重美 / 土屋正彦