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作品調査

戸谷 誠 TOYA Makoto

1944年生まれ 東京都在住

《2003,2014,2021》 ※戸谷作品のタイトルは、《制作した年→加筆修正した年》と表される。

1035×330 紙、鉛筆、墨、絵具

《2004→2020》 ※戸谷作品のタイトルは、《制作した年→加筆修正した年》と表される。

1040×340 紙、鉛筆、墨、絵具

《2003→2012》 ※戸谷作品のタイトルは、《制作した年→加筆修正した年》と表される。

1029×339 紙、鉛筆、墨、絵具

《2006》 ※戸谷作品のタイトルは、《制作した年→加筆修正した年》と表される。

1045×336 紙、鉛筆、墨、絵具

《2010》《2006》 ※戸谷作品のタイトルは、《制作した年→加筆修正した年》と表される。

1040×339 1040×339 紙、鉛筆、墨、絵具 

《2000→2007》 ※図柄を複写し類似する作品を複数制作する。

1020×725  和紙、鉛筆、墨、絵具

《2000→2007,2020→》 ※図柄を複写し類似する作品を複数制作する。

1020×728 和紙、鉛筆、墨、絵具

《2000→2007,2020→》  ※図柄を複写し類似する作品を複数制作する。

1020×723  和紙、鉛筆、墨、絵具 

《No.61,2001→2021→》

(部分)280×19797 和紙、鉛筆、墨、絵具 ※ロール状の障子紙に描いた絵巻物(第61巻の一部分①)。絵は右上端から繋がっている。

《No.61,2001→2021→》

(部分)280×19797 和紙、鉛筆、墨、絵具 ※ロール状の障子紙に描いた絵巻物(第61巻の一部分②)。絵は右上端から繋がっている。

《No.61,2001→2021→》

(部分)280×19797 和紙、鉛筆、墨、絵具  ※ロール状の障子紙に描いた絵巻物(第61巻の一部分③)。絵は右上端から繋がっている。

※以下の文章は、「滋賀県アール・ブリュット全国作品調査研究」令和5年度報告書から抜粋したものです。

 画中では、幻想的な風景をバックに、少々エロティックな姿の女性たちが穏やかな微笑みを浮かべる。彼女らはときに6つの目を持ち、ときに後光が差すなど絵のなかの世界を象徴する。その周りでは、得体の知れない生き物がおちゃらけた振る舞いを見せるが、その存在が彼女らの視界に入ることはない。作品全体に漂うどことなくシュールでシニカルな雰囲気は、随所に取り入れられるだまし絵的な要素が醸し出すのだろうか。だからといって怪しげでダークな印象はなく、むしろ幸福感にあふれた明るい世界が表れている。
 「どのような絵になるかは描いてみないとわからない」
 60年にも及ぶ画業のなかで戸谷は、繰り返し刹那的な脳内イメージを描いてきた。それらは全て戸谷が絵と向き合い続けることで、“絵”自体がひとり歩きしていった結果なのだという。ときどき漫画家が「物語に没入することでキャラクターが勝手に動き出す」と発言するのを耳にするが、それに近い感覚なのかもしれない。戸谷の自宅兼アトリエには、そのようにして生まれた夥しい量の作品が積み重なっている。
 「なぜ、その絵を描くのか、動機がはっきりしているわけではなく、何かモヤモヤっとした気持ちがあるだけなんです。何をなぜ描くかがわかっていれば、もう続ける必要はないわけです」
 戸谷は「描く」ことで、すでに目的を果たしている。他方、「何を描くか」、「どう描き切るか」はほとんど重視しない。絵のなかに凝り固まった設定を持ち込まず、モヤモヤした状態のまま支持体と向き合う。そうした態度を絵に対して示すことで、自分の想像をも超えるようなイデアとしての絵を追いかけてきたのだろう。
 また、「描く」ことをひたすら繰り返す戸谷は、制作時間にも縛られることがない。その日の気分で昔の作品を取り出してきては、絵そのものの内容を変えたり、色彩を施したり、一つの絵に対して長い年月をかけて加筆修正を加える。古い作品であればあるほど気付きが多いそうだ。加筆を通じて、過去の自分と今の自分の時間を超えた、あわいを感じ取ることができる。絵のイメージを印象づけるようなタイトルをつけることもない。シンプルに「制作した年→加筆修正した年」がそのままタイトルになり、そういったところからも絵に対する一貫したスタンスが窺える。  
 さらに、同じ図柄を何度も複製し別パターンの絵が増えていく傾向も見られる。それが特に如実なのは絵巻物の制作である。過去に描いた図柄を部分的にトレースすることを繰り返し、トレースした図柄と図柄の隙間を別の要素でつなぎ目なくなじませるという方法で、これまで61巻の絵巻物を制作してきた。1968年に描き始めた第1巻の修正は今もなお続いており、その制作に終止符が打たれることはない。しかしそれにかけた時間は、間違いなく絵のなかに凄みとして蓄積している。(横井悠/ボーダレス・アートミュージアムNO-MA学芸員【執筆当時】)

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